翻訳という仕事
ある物体の一番長い部分の寸法は "length" だと、ずっと信じていた。なので、プリンターの用紙の幅に沿って伸びるヘッドの幅は length だと思っていた。ところが native check で、寸法にはlength x width x height で表すべきものとdepth x width x heig…
何年かぶりでNHK「ラジオ英会話」を聞き始めた。講師が替わって、内容が一新。今までのラジオ英会話は「遠山顕の英会話楽習」に引き継がれて、ラジオ英会話はちょっとレベルを落として文法解説が詳しくなるみたい。そんなわけで、ちょっと興味をそそられて聞…
'Wear out' applies to a consideration of functionality. Wear out は、機能性の判断にあてはまる。 These cheap shoes look as if they will eventually wear out entirely. この安い靴は、いずれ完全に擦り切れてしまうかのようだ。 'Wear down' require…
例えば吸着不純物が樹脂から溶出するというときの「溶出」は elution でいいのだろうか? といつも思う。elution は化学分野行われる「溶離」というプロセスで使われる語なのだが、溶離と溶出はちがうだろう! って思うのだ。上の文で使われている「溶出」は…
「粒(子)径」という言葉には悩まされる。材料が粉体から固体に加工される場合なんて、原料の粒子径は”particle size"だけれど、焼成して結晶化する工程があったりすると、どの時点の「粒(子)径」の話をしているのかを確認しないと大変なことになる。part…
Word 2016 から、デフォルトのフォントが、「見出し」に「游ゴシック Light」、「本文」に「游明朝」となっている。すっごく見づらいし行間が異常に空いて、とっても迷惑。これ、使っている人っているのかしら? と、ぶつぶつ文句を言っても仕方がないので、…
特許のクレームでは、二度目以降に出てきた言葉に「前記」や「該」をつけて、英語の定冠詞 the の役割をさせる。 「前記」と「該」の使い分けとして、直前に出てきたものには「該」、それ以外は「前記」とするというのがある。それもひとつだが、そもそも「…
「析出」というと最初に浮かぶのが precipitation だが、precipitation は 溶液の中に沈殿が生じるとくの「析出」で、例えば、塩が噴くみたいに何かの表面に結晶があらわれてくる場合はdeposition じゃないかと、なんとなく思っていた。なんとなくだったので…
同業者とおしゃべりするのは得るところが大きい。今回教えられたことの第1は、分詞構文の意味上の主語は主節の主語に一致するのが原則であるが、文末分詞構文は、前文全体または前文の一部を意味上の主語とできるということ。主節の主語と一致しなくてもい…
かってに限定用法とか非限定用法とかという言葉を使ってしまったが、本来は、such as の前にカンマがあるかどうかで意味が異なる。 以下は"The ACS Style Guide" に記載されていた説明の訳文である。 ----ここから “such as” や “including” で導かれる句は…
~することが好ましい。特許明細書ではよく使われる表現で、ちょっと前までは preferably を使って訳すことが多かったが、最近の米国特許の実務では preferably の使用は敬遠されるようだ。advantageously も同様に嫌われる。あるとき、クライアントが advant…
「覆う」をcover とするか coat とするか迷う。coatは、 膜で表面全体を隙間なく覆う感じで、coverの意味はもっと広い気がする。そしてcoverの場合には、coverするものとされるものとの間にが何かが介在していてもよいのだが、日本語で単に「覆う」と書いて…
以前、「Aに接続されたB」という句を "B connected with A"と訳した際に、Nativeのチェックで "connected to”に直されたことがあった。それ以降、"connected to" と"connected with"の違いがよくわからなくなっていた。そんなある日、どっちも表現も使ってい…
Evaporation と Vaporization の違いを改めて調べていたら、こんな動画を発見。とても分かりやすい。感謝。人気ブログランキングへ
「電荷」というのは 電荷の量のことなのだが、しばしば電荷を持つ粒子のことを「電荷」と言っている文をよく見かける。電荷量を意味する英語は chargeなので、電荷=charge としがちなのだが、それでいいのだろうかと思いつつ、 電荷を持つ粒子を意味する場…
「過飽和度が過大になることを低減することができる。」ってどういう意味なんだろうか。過大になるリスクを低減するのか過大の程度を低減するのかたぶん、「過大にならないようにすることができる」という意味なのだろけど、どう訳すかって悩むのだ。人気ブ…
「分子が配向する」というときの「配向」はorientation なのか alignment なのか迷う。調べているうちにある文献を見つけた。→ http://light.phys.s.u-tokyo.ac.jp/nenji/nenji06-j.pdfここに「始めに、分子の配列と配向の意味を定義する。分 子の頭と尻尾を…
あれは先週の金曜日のことだった。 その日のうちに納品しなければいけない案件があり、月一の着付け教室のゼミもお休みして仕事をしていた。そしてもう少しで完了というころで、突然、プチッという音とともにディスプレイが真っ暗に。 えっ? でも、ま、そう…
「ビニル系単量体を重合し、片末端に反応性官能基を有する重合体を合成する」というときpolymerize a vinyl monomer とすることに違和感を覚える。polymerize の意味をOALD7で調べてみると”to combine, or to make units of a chemical combine, to make a p…
発色性の訳語に"color developability" がよく使われる。しかし、例えば「(印刷で)得られた画像の発色性」というときの「発色性」は”color developability"でいいのだろうか。developability の語義はcapacity or suitability for development (MERRIAM-W…
”hollow, cylindrical barrel” を「円筒状のバレル」としったら、hollowが訳されてないって。「円筒状」で十分でしょ。円筒形は hollowなんだから、中空って当たり前だと思う。あ、それで気づいた。英訳するとき円筒形をどう表現しようか、迷ったことがあっ…
「表面層を形成する樹脂成分」や「××樹脂中のポリエーテル成分」などという表現をよく目にするが、前者と後者とでは「成分」とは意味が違うと思う。樹脂成分の「成分」は樹脂を構成するもろもろのもののことで、樹脂のいわゆる「成分」ということ。一方、ポ…
「浸透性溶剤」の訳として”permeable solvent” というのうをよく見かける。この場合の「浸透性」とは、液体や気体が物質が通過あるいは入り込むことができる性質のことだと思うのだが、permeable は "allowing a liquid or gas to pass through" つまり、物…
ある組成物の構成を説明するときに、「○○化合物は固形分換算で ×質量%」などという表現をつかうことがある。この「固形分」とは、その組成物に含まれる不揮発性材料、すなわち組成物に揮発性媒体(揮発性溶媒など)が含まれている場合に、それが蒸発した後…
プリンターのことを記録装置と称することがある。特許の世界ではほとんど「記録装置」と称している。記録の英語は"record" なのだけれど、日本語の記録と英語のrecordとはちょっと違うと思う。記録は「書きしるすこと」を意味することがある。だから、機械で…
このフレーズは、特許明細書によく出てくる。そしてこの英訳としてよく見かけるのが~ may be appropriately determined according to .....でも、may be appropriately ってちょっと違和感があるので、ググってみた。そしたら、この表現使っているのって、…
契約している翻訳会社に、ギリシャ文字などの特殊文字をSymbolフォントにしてくださいと言われることがある。でも、Symbolフォントは、エディターソフトで文字化けしてしまい、テキスト表示できない文字なのだ。なので、翻訳支援ソフトではSymbolは文字化け…
走査する=scan とすぐ浮かぶけれど、本来の意味は、面や線をなぞって、その面や線の情報を得ること。しかし、単に表面をなぞることも「走査」と表現する特許明細書をたくさん目にする。そのような場合に、私はscan ではなくsweep を使うことにしている。(…
理由と結果のうち理由に重きを置きたい場合は because、結果に重きを置きたい場合は sinceを使う。どちらも会話にも文章にも用いるが、sinceのほうがformalな表現。http://dictionary.cambridge.org/us/grammar/british-grammar/as-because-or-since
「吸引されたガスは,吸収液にバブリングされる」と原文に書いてあった。日本語の「バブリング」っていうのは、液体をぶくぶく泡立てるってことだと思うのだが、「ガスが吸収液にバブリングされる」っていう場合は、「ガスを吹き込んで、吸収液をぶくぶくさ…