溶媒と溶剤

「A液は、分散媒として水を含むものであってもよいが、有機溶媒、いわゆる溶剤を含むものであるのが好ましい」

化学屋の私にとっては、溶媒も溶剤も、どちらも solvent なのだが、工業分野では、溶剤というのは有機溶媒をさすので、よく上記のような表現を目にする。

そして、づづけて「A液は、溶剤系インクであるのが好ましい。溶剤系インクは、インクの溶媒成分として溶剤を含み、水を溶媒成分としていないインクをいう」なんて文がくると、もう、どうしていいやら。

有機溶媒=溶剤 なので、直訳すると どちらも organic solvent になってしまう。溶剤を non-aqueous solvent にすると、 non-aqueous solvent には inorganic なものもあるので、これを排除するためにorganic non-aqueous solvent なんてすると、全体が全く冗長で、意味のない文になってしまう。

溶媒を liquid medium にするなんていうのも手かもしれない。
ま、こういうときは、どっかを端折って、意味が通じるようにするのだが、そんなときは訳抜けなんて言わないでくれ、と密かに祈る。