関係「性」

受講生の訳文にこんなのがあった。

「二つの検出器、1と3は、互いが同一平面上にある関係性になるよう配置されることが図に示されている。」

数年前から耳にもするし目にもする「関係性」ということば。最近はテレビのアナウンサーも平気で口にする。

関係性の「性」って何?

昔々、受験生だったころ、小論文の書き方で、付けなくても通用する言葉に無用の接尾語を付けてはいけない、とよく言われた。特に「~的」、「~」をつけると、意味が弱くあいまいになるって。物事をソフトにあいまいに表現したい日本人の特性の現れなのだろう。

「~性」というときの「性」は、物事の特質や傾向を表すので、関係性というのは関係の傾向、たとえはAとBとの関係がどういう方向に向かっているか、ということになるのだろうか。そう解釈するなら人間関係では「関係性」ってありなのかもしれない。だから教育関係の論文でしばしば使われるのかもしれない。AとBの関係がいい方向に向かうとか、AとBとの関係が薄れているとか。

言葉は少しずつ使い方も意味も変化していく。
似たような言葉に「関連」がある。関連は「関連性」という使い方も認められている。これだってきっと、昔は違和感があった言葉なのだろう。やがて「関係性」だって認められる、いやすでに認められているのを私が認めたくないだけなのかもしれない。

しかし、ものとものとの位置に「関係性」はない。ある一定の「関係」があるだけだ。