令和
音の響きはきれいだけれど、漢字を見るとなんだかぞっとする。
初めて和書からとったのだと、世間では殊更強調して、政治ショーを演出している。
「万葉集」巻5(815番歌)の詞書「初春令月、気淑風和」からとったのというけれど、この詞書は、後漢の学者 張衡(78-139)による「歸田賦」の「於是仲春令月、時和氣清、原隰鬱茂、百草滋榮」(是に於いて 仲春の令月 時は和し気は清む 原隰し鬱茂し 百草 滋栄す)からきているのだそうだ。宦官による政治腐敗に耐えきれなくなって帰郷した時の詩だというから、何とも皮肉は話だ。
そもそも元号そのものが、中国の、皇帝が時をも支配するという思想から始まったものなのだし、漢字を使っている限り漢籍からは逃れられない。ルーツを日本に求めるなんてナンセンス。伝統、伝統と騒ぐなら、そこだけ変えるなって話だ。