新作能 沖宮

11月18日、国立能楽堂で、今年2月に亡くなった石牟礼道子原作の新作能「沖宮」を鑑賞した。

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石牟礼道子と、石牟礼と長く親交のあった紬織の人間国宝志村ふくみとが、次世代に残したい最後のメッセージとして制作したという。志村は衣装を監修した。

2部構成で、第1部は、原作の朗読。女優の竹下景子が読み、ギタリスト村治佳織の演奏が伴う。
第2部で能。シテは金剛龍謹(たつのり)。

島原の乱の後、干ばつに苦しむ村のために、雨乞いの人柱として、亡き天草四郎の乳兄妹あやが選ばれる。舟に乗せられて雨神 竜神のもとへ送られようとしたとき、天草四郎が現れる。あやは四郎に導かれて、海の底の「沖宮」へと旅立つ、というお話。

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あやの衣装が緋色、四郎の衣装が天を思わせる薄縹色。
最後に登場した竜神は藍色の狩衣をまとい、面をつけてシテのよう。
志村の「自然からいただいたい色」が美しい衣装たち。

能装束は唐織だけれど、志村ふくみ監修の衣装は天然の色素を使った色を自然な織で魅せる。志村は能装束の歴史に敬意を表し、ご自身監修の衣装は「能衣裳」としたそうだ。

私のすぐ前の席に、第一部で朗読した竹下景子さん。
そして、美智子皇后もご鑑賞。能楽堂についたとき、やけに警備の人が多いと思ったのは、このためだったのだ。

終演後、お帰りになられる姿を一目見ようと皆が待っていると、しばらくしてお出まし。丁寧に見送る私たちに声を掛け、挨拶をしながら出て行かれた。写真もフラッシュをたかなければ撮っていいと。不遜にも芸能人とは違うんだ~、と思ってしまった。

そして、この日のコーディネートは、佐波理のろうけつ染め訪問着と佐波理のシングルという帯。

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