映画「主戦場」を観てきた。

旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」を観てきた。金曜日の16:00に100席ほどの劇場は満席だった。

監督は日系米国人2世のミキ・デザキ。韓国人元慰安婦の証言に疑問を呈する保守言論人(いわゆるネトウヨと呼ばれる人たちが支持している人たち)と、元慰安婦を支援してきた人たちや歴史研究者・学者らが、それぞれデザキ氏の疑問に答えていくのだが、その映像は、決して同じテーブルについて議論することはないだろう彼らが、あたかも議論を戦わせているかのように、主張が交互に対置される。

デザギ氏の疑問は
慰安婦の数は本当に20万人もいたのか
強制連行はあったのか
聖堂令というが、彼女たちは奴隷状態だったのか
そして、慰安婦問題を否定したい人たちの本当の狙いとは、など。

歴史修正主義者や否定論者は重箱の隅をつついて、慰安婦だった女性たちが、自分の意思で商売として売春婦になったのであって、日本軍の関わりなどないと言いたいようだが、日本軍の主導で慰安婦が集めれ兵士の相手をさせられていということは、さまざまな記録から事実であると言えそうだ。

支援者たちは慰安婦問題を人権問題としてとらえ、歴史修正主義者は日本と韓国の国家問題としてとらえているようだ。

日本会議の加藤英明は、この問題について尊敬する歴史家はだれかとの問いに、自分以外にはいないと答える。吉見義明氏をどう思うかと問われると、吉見をしらないようだった。この問題について他の人の書いたものは読まないと胸を張る。

杉田水脈は、朝鮮や中国の人たちは平気でうそをつく民族だ、騙す側より騙される側がのほうが悪いという教育を受けているのだと、にやにやしながら答える。(その直後に、騙す方が悪いに決まっているとインタビューに答える韓国の若者が何人も映るのだが)

人の著述を読みもせずに、自分の主張が思い込みだとは思わないのだろうか。日本人は正直で特別な民族なのだといえる根拠は何なのだろうか。

映画の冒頭に2015年の日韓合意直後に、元慰安婦の女性が韓国政府の要人に詰めよるシーンが映し出される。

なぜ、私たちに(合意の内容を)知らせずに、私たちの意見も聞かずに、勝手に合意してしまうのか、当事者は自分たちなのに、当事者である自分たちを無視して国家間で勝手に決め手しまうのだ、と。

その激しい怒りがひどく印象に残った。

最後に、この日の装い。
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雨だったので、シルック着物にぜんまい紬の染帯。
道明の高麗組の帯締め
ベージュベースのちりめん帯揚