きものは左右均等には着られない

先日、東京キモノショーのワークショップ「きもの寸法相談」に参加してきた。

いままで何枚も着物を仕立ててもらったが、ちょううどよく、気持ちよく着られる着物は少ない。胸の皺がどうしてもきれいに整理できなかったり、おはしょりの幅が均等にならなかったり……。そんな悩みを、寸法から解消できないかと思ったのだった。

アドバイザーは仕立て屋ツキヒコの彦根由美さん。以前にこの方の書いた「正絹を自分で洗う本」や「マイサイズのみつけ方」という冊子を購入したことがあり、和裁士の立場からかなり着物を研究なさっている方とお見受けする。

相談会は、ただ採寸してサイズを決めるというのではなく、普段どこが気になっているか、そこをどうしたいか、どんな着方が好みかをいろいろ聞いてくれ、そこから寸法を割り出してくれるものだった。

以下、そこで初めて知ったこと。

その1: 衿から胸にかけての皺は、衿の仕立て方の良し悪しに左右されるというと。衿部分の処理はとても難しいのだそうだ。仕立ての際「衽下がりをはらませる」よう指定といいとアドバイスをされたのだが、実は、この意味を理解して、その通りにできる和裁士さんは少ないとも。

その2:きものは左右均等には着られないということ。おはしょりの幅がどうしても左側のほうが広くなってしまうので、平行なおはしょりにしたいのだが、と相談したところ、鏡で肩線の位置が左右で違うことを教えてくれた。帰宅してから自分でもう一度確認した写真が下の2枚。

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(左肩)

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(右肩)

右が後ろ側に、左が前側にずれ、左の肩線が右の肩線より前に位置するようになる。ふつうは大体こうなるのだそうだ。右前身頃は一重上げされて内側に隠れてしまうため引っ張られることが少ないが、左の前身頃は外側に出るため、おはしょりを整えるとき右下側に引っ張るからなのだそうだ。そうすると引っ張ってずれた分だけ左側が長くなり、おはしょりの幅が広くなるという。だから左のおはしょりが広くなるのは仕方のないことなのだそうだ。

どうしても平行にしたい場合は、繰り越しを大きくとるか、着付けで何とかするしかないとのこと。私は今までも繰り越しを7分にしていたし、これ以上衿を抜くと品がなくなるような気がするので、結局、着付けで何とかするということで妥協。

その3:抱き幅を指定通りに仕立ててくれるところは少ないということ。(これは以前から何となく気づいていたことではある。)
下半身デブの私。胸元をすっきりさせるには抱き幅の指定が肝要なことはわかっていたのだが、だいたい指定した通りにはなっていない。前幅より4分少なく指定するとできないといわれることも多かった。今回、彦根さんが出してくれた私の寸法は、前幅から5分も少ない。彦根さん曰く、「できるとこ少ないかもしれませんが……」。

その4:ようするに理想のマイサイズに仕立ててもらうためには、腕のいい和裁士さんを見つけなければならないということ。彦根さんのところに頼めってことかもしれないね。

今まで私が仕立ててもらった中では、ばらつきがあるものの青山きもの学院の「あも」さんが一番上手。でも、高い。腕がよく、納得できる価格の仕立て屋さんを見つけなければならない。仕立て屋ツキヒコさんの仕立て代は高くないけどね。さてどうするか。

最後に、ワークショップ参加の日のコーディネートを載せておく。

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結城縮(奥順はたおり娘)
貝紫染色の螺鈿の付いたぜんまい紬の帯
ピンク/白の帯締め(道明)
スグリーン/薄黄色の帯揚げ(ちりめん地)

(鉄男くんたちの鉄道模型運転会のために、部屋がちらかっていて恥ずかしい)