こんな時ですが能「弱法師」を鑑賞
1年ぶりくらいで国立能楽堂で能を鑑賞した。
18:30開演、20:30終了予定の公演だったので、直前まで中止になるのではないかと不安だったが、休憩をなくして中身もちょっと端折って、20:00ちょっと前に終わらせることにしたらしい。
コロナウイルスは夜行性なのか? と突っ込みを入れたいところだが、今の世の中は、そんな感じで動いているのだ。ま、そんなわけで、私も家を出てから帰宅まで、誰とも一言もしゃべることもなかった。
演目は「弱法師」。下村観山がこの能の一場面を描いている。
河内の国の豪族 高安通俊が、讒言を信じて我が子俊徳丸を家から追放してしまったことを後悔して、難波の四天王寺で施行を行っているところに、俊徳丸が盲目の弱法師となって施しを受けに来るとうお話。最後は通俊は弱法師が我が子であるこに気づき、河内の国へ連れて帰る。
観山の絵は、俊徳丸が日相観を行っているところを描いている。この絵は実は六曲一双で、左側には沈みゆく真っ赤な太陽が描かれている。
俊徳丸は、杖を頼りに境内を西に向かい、心の目で落日を見つめて言う。
「盲目の身であるから、入日があると心で思った方に向き、東門を拝む。『南無阿弥陀仏』
西に向かって東門を拝むというのは、四天王寺の西門を出て、極楽浄土の東門に向かうという意味だ。時はちょうど春の彼岸の中日。この日は、昼と夜の長さが同じ、つまり、太陽が真東から登り真西に沈むということで、古来から阿弥陀如来が掌る西方極楽浄土への道が最短でつながる日と考えられてる。
そんなことを思いながら楽しんだ舞台だった。
ついでに、久しぶりの能鑑賞の装いも。
切子紋の博多織お召しby 筑前織物